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グローバル人材の育成に関する事業

グローバル人材育成のための海外派遣プログラム

海外留学や国際学会に参加する学生への支援を行いました。
※学生の所属・学年は支給時のものです。

国際学会派遣プログラム

工学府生命工学専攻(博士前期課程)1年 濵﨑 真衣

 2022年に開催されたアメリカ最大規模の化学系学会であるACS Fall meetingに参加し、一本鎖抗体scFv の迅速・簡便な検出システムの開発に関する研究成果を口頭発表にて発表しました。発表では各国の研究者から意見やアドバイスをいただき、専門家が自身の研究を客観的に見た時どういう意見を持つのか知り、さらに自身の研究への理解を深め研究を進めるうえで必要となる新たな視点を得ることができました。また、口頭発表ということで20分も英語で発表を行うという経験ができ、自分の大きな自信となりました。
 今回このような貴重な経験をさせていただき、基金による多大なるご支援に厚く感謝しております。

2016年度 留学プログラム

タイ・キングモンクット工科大学 トンブリ校(工学部物理システム工学科1年 武末 栞奈)

この短期研修は自分の英語力を試す良い機会となりました。専門科目を英語で聴講したり、企業訪問を現地の学生と一緒に行いましたが、語学力だけでなく、彼らは積極性に富み、自分の力不足を痛感しました。「同じ学年の大学生なのに・・・」
帰国後は英語の勉強を毎日行っています。留学生をサポートする団体にも所属し、リーダーとして農工大を盛り上げています!

マレーシア日本国際工科院(工学部電気電子工学科1年 森 滉介)

“Yes you can”
僕のマレーシア留学はこの言葉から始まりました。英語を話すことが苦手で、これまで海外にも行ったこともなかった僕が、当時、農工大に来ていた留学生に『僕だって母国を出て日本で勉強しているよ。Yes you can. Why can’t you?』と背中を押されて、留学に応募しました。マレーシアでの留学はすべてがチャレンジで、英語での専門科目の聴講、エアバスでの研修等、自分に足りないものを多く痛感しました。しかし、それ以上に世界には自分の知らないことがたくさんあると実感し、いろいろなことをもっとたくさん学びたいと思うようになりました。自分で経験してはじめて自分のものとなります。この留学は僕の意識を高めてくれました。今は長期の留学をめざしてがんばっています!

タイ・カセサート大学(農学部応用生物科学科2年 遠山 智子)

2016年の9月、タイ・カセサート大学の短期研修に参加しました。現地ではカセサート大学の方々が出迎えて下さり、穀物生産、畜産、熱帯魚の養殖など、実際のフィールドや施設を見学しながら、様々なタイの農業の現場を体験しました。タイと日本との類似点、相違点が見えてきたことが大変興味深かったです。慣れない環境での研修は大変でしたが、今回の体験のおかげで身についた柔軟な思考で、今後も積極的に行動していきたいです。

タイ・カセサート大学(農学部応用生物科学科1年 佐藤 光希子)

私は、タイの農業事情について漠然とした関心を抱いて参加しました。実際に現地では、カセサート大学の農業研究所、畜産系研究所、水産系研究所を回って説明を受け、熱帯農業にはまだ課題が残っていることを感じました。今回の短期派遣ではカセサート大学の職員や学生が全行程付き添ってくださり、ここでの交流を通じ、言語の壁を越えたコミュニケーション力を得ることができました。この力は今後必ず活きることを確信しています。非常に有意義な13日間でした。

2015年度 留学プログラム

米国物理学会(APS/DFD)(工学府機械システム工学専攻博士後期課程2年 木山 景仁)

2015年11月にボストン(米国)で開催された米国物理学会(APS/DFD)に参加しました。私は、液体を急加速した場合に生じる液体の特異な挙動について口頭と映像(これは現在も学会YouTubeページから視聴できます)で発表しました。学会における海外の研究者との討論や、世界中からの多様な研究発表は、とても刺激的であり、有意義な経験でありました。本派遣に際し、大学よりご支援いただきました。記して感謝します。
※派遣時博士前期課程2年

マレーシア工科大学(工学部生命工学科3年 赤塚万紀)

私は学部2年生の夏休みに、マレーシア工科大学での短期研修に参加しました。
正規科目の授業聴講や日系企業への訪問、現地学生との学習交流会など、「英語プラスα」の留学を希望していた私にはぴったりのプログラムでした。さらに、多様な文化的背景を持つ人たちと出会うことができ、知識を高め視野を広げることができました。私は今、短期研修での経験を経て、タイでの長期留学プログラムに参加しています。専門科目の履修のほか、現地の学生とチームを組んで蛋白質の研究を行っています。ここでの自分の経験や貢献を帰国後の卒業研究にぜひ活かしたいと考えています。
短期研修から長期プログラムへ、留学を通して自分が成長できていることを実感しています。農工大から支援をいただき、貴重な経験を与えてくださりありがとうございました。

スペイン マドリードマイクロエレクトロニクス研究所(工学府電子情報工学専攻博士後期課程3年 貝原輝則)

2016年1月11日から3月13日まで、スペインのマドリードマイクロエレクトロニクス研究所(Instituto de Microelectrónica de Madrid Centro Nacional de Microelectrónica Consejo Superior de Investigaciones Científicas)へ行かせていただきました。ここは私の研究分野に関して世界的にも先駆的な研究所で、短期間でしたが充実した設備と優秀な教授達に恵まれ、ここでの研究を基に論文を書くことができました。この機会を下さった指導教員の清水大雅准教授と、本派遣制度に感謝しております。本当にありがとうございました。

清水研究室とマイクロエレクトロニクス研究所の指導教員との交流

インドネシア ガジャマダ大学(応用生物科学科2年 早川徹彦)

学部1年生の8月、インドネシア・ジョグジャカルタにあるガジャマダ大学で行われた約2週間の短期留学プログラムに参加しました。そこでのプログラムは、1年たった今でも、自分の記憶の中で大きな1ページを刻んでいます。最も大きな収穫は、世界各国から集まる仲間たちの積極性に押されて、自分も積極的になれたことです。これは帰国後、農工大に来た留学生との関わりにも活きているし、自信にもつながっています。今後は、国際的に活躍できる理系人として、ここで得た広い視野を研究や教育の分野で社会に還元したいと考えています。

米国 ASCB annual meeting(連合農学研究科博士課程1年 板井菜緒)

2015年に開催されたアメリカの細胞生物学会であるASCB annual meetingに参加し、自身の研究成果をポスターセッションにて発表しました。発表では各国の研究者から意見やアドバイスをいただき研究を進めるうえで必要となる新たな視点を得ることができました。また、学会参加を通して細胞生物学の最新の研究に触れられたことも大きな収穫となりました。今回このような貴重な経験をさせていただき、貴基金の多大なるご支援に厚く感謝しております。
※派遣時農学府修士課程2年

2013年度 留学プログラム

米国 カリフォルニア大学デービス校(農学部獣医学科4年 山田匡之)

■ 留学期間:2013年8月9日~9月6日

Davis, California, USA. 芝生が青々と広がるUC Davisのキャンパスで学んだ1ヶ月間から早くも1年半が経とうとしている。1ヶ月という限られた時間だったが、今振り返ってみても、自分にとって本当に欠かすことのできない1ヶ月間を過ごしたと感じている。
当時、海外留学経験のなかった私にとって、アメリカの大学で勉強することは憧れの対象である一方、乗り越えるべき1つの試練のようにも感じられた。今思えば、肩の力が少し入りすぎていたとも思うが、英語のみに囲まれて生活することは、当時の私にとってそれほど未知の経験であり不安の対象だった。しかし、Davisに到着すると、出発前に感じていた不安感はすぐに消え去り、新しい考え方や価値観、友人達との出会いの連続の毎日が始まった。
英語に対する考え方を大きく変えるきっかけを与えてくれたのは、英語の授業の街頭インタビューで出会ったアメリカ人のおじいさんだった。ひと通り、こちらからの質問を終えた後、私が自分の拙い英語インタビューに付き合ってもらったことへの感謝を伝えると、そのおじいさんから絶対に忘れることのできないアドバイスをもらった。「日本語と英語は文字も文法も発音も何もかも違う。第二言語として英語を使い会話している日本人の君のことを私は尊敬するし、多くのアメリカ人も同じように思うはずだ。英語を使う際の間違えは気にせず、英語を使う自分に自信を持ちなさい。」英語圏のネイティブスピーカーや帰国子女並に英語を扱うことが英語を使えることだと思い込んでいた私にとって、この言葉はどのような言葉でも表現することのできないほどの大きな意味を持ち、この会話を境に、誰とでも積極的に英語でのコミュニケーションを取れるようになった。

Davisでは尊敬できる多くの友人にも出会うことができた。農工大から一緒に派遣された学生以外にも、早稲田大学や東京理科大学、中央大学、九州大学など様々な日本の大学から学生が集まっていた。大学に関係なく、この派遣で出会った友人は一人一人が異なる背景を持っており、高い英語力を持つ人もいれば、高い向上心を持つ人、さらには何かを見つけたい一心でDavisに来ている人もいた。互いの目標や悩みを話し、どのようにすれば互いの目標が実現できるか議論した時間は私にとって貴重な時間だった。目標を周りの人に話すことで生まれる覚悟が、私のモチベーションを高めた。目標を人に話す大切さや、その実現に向けて一緒に努力する仲間の存在の大切さを知った。
この他にも、Yosemite国立公園の大自然を前に感動しすぎて一人で泣いた話、ホストファミリーとその愛犬とマウンテンバイクトレイルに挑戦した話、3日連続で長距離列車Amtrakに乗ることになった話など、思い出話が尽きることはないが、これからDavisに行く人の楽しみを奪いたくないので、今日はこの辺にしておきたいと思う。
UC Davisで得た経験は、失敗を恐れず自分の好きなこと・興味あることに積極的に挑戦する勇気を与えてくれた。将来、どんな自分になることができるか、今現在の自分にはわからないが、「感染症から人と動物を守る獣医師になる」という目標実現のために、Davisでの経験を活かし、挑戦と努力を継続したい。
最後に、今回のプログラムでは皆様方からのご寄付により、大変貴重な経験を積むことができました。心より感謝申し上げます。

英国 ブライトン大学(農学部地域生態システム学科3年 金子夏穂)

■ 留学期間:2013年8月5日~8月23日

この年の夏は私にとって特別な夏となりました。海外へ行くこと自体初めてだった私には、大学がバックについているこの留学プログラムは安心感があり、いつもは反対する両親も比較的すんなりと承諾してくれました。滞在は英国ブライトンで3週間、英語を学ぶ目的で渡航しましたが、学んだことはもちろん英語だけではありませんでした。
ブライトンはイギリスの南海岸沿いに位置する都市で、英国内ではリゾート地として主に知られているようです。高い山がほとんどないため、丘に登れば広々とした美しい景色を眺めることができます。イギリスは雨が多いイメージがありますが、ブライトンは晴れの日が多く昼は暑い日もありました。朝晩は肌寒いくらいだったのですが、昼でも日本と違って湿度が低いので日陰に行けば涼しく、蚊もセミもいないに等しいのでかなり過ごしやすい夏でした。
ブライトンの中心街は海岸沿いにあってたくさんのお店やレストランがあり、Brighton Pier や Royal Pavilion など観光スポットもお互い比較的近くに位置しています。街全体は夏は人で賑わうものの、留学生が多いこともあり街に不慣れな人への理解があって暮らしやすい雰囲気に包まれています。二階建てバスと電車は、慣れるのに1週間かかりましたが役に立つ移動手段で、大学への通学のほか休日に出かける際も利用しました。

授業はブライトン大学の Falmer キャンパスで受けていました。構内は広々とした設計になっていて、留学生サポートも充実しているようでした。東京農工大学の学生で構成されていたクラスだったので、安心感はありましたがその分他学生との交流が少なかったです。それでも、交流したい旨を大学に相談するといろいろな形ですぐに対応してくれました。プランプトン大学への見学では、広大な農業用敷地やたくさんの家畜など、農工大学とは全く規模の違う様子に圧倒されました。通常の授業内容はリスニング・リィーディング・ディスカッションが主で、新聞記事を読んだり理系寄りの内容のビデオをみたりしました。話すことが主だったので、コミュニケーションスキルの向上に一役かったと思います。最後には短いプレゼンテーションを各自で行い、人前で話すのが少し苦手だった私には大変だったけれど、フィードバックもしっかりくれたのでその後に役立てることができました。

ホストファミリーとの交流は、その後の私の生活に一番影響したと思います。他人の家に3週間も泊まり込むということ自体緊張するものなのですが、それを暖かく迎えてくれ、私たちの話を真摯に聞いてくれたホストファミリーには感謝していますし、学ぶことも多かったです。私が滞在した家庭では、初日には近所やブライトンの中心街を案内してくれましたし、どこか他の場所へ一人で行く時は電車での行き方を調べてくれたり、アドバイスをたくさんくれました。家庭内での交流も多くあり、休日に他の家族メンバーを誘って長い散歩をしたり、カードゲームに興じた夜もあったりしました。ほとんど毎日夕食後にホストペアレンツと2時間は話していたこともいい思い出です。話す内容もイギリスのことや日本のことだけではなく、戦争のことや社会問題など多岐に渡り、幅広いことにふだんから興味をもち、自分で考えることや論理的に意見を述べることの大切さが改めて大切だと気づかされました。日本にいるだけでは体験できなかったかもなと思うことの一つです。また、日本で当たり前のことが他国では当たり前ではないことを肌で感じることもできました。水やお湯の使い方により配慮したり、夜は街も東京ほど明るくなかったりしたことや、なにか気になることがあったら自分からはっきり言葉に出すことなど日本では曖昧か推し量りあうような事柄が、海外では通用しないことを確認することができました。ある意味で自分自身の自立心をより育むきっかけになったと思います。

休日はロンドンに日帰りで行ったり、近場の Lewis で小高い丘に登ってみたり、白い断崖が美しい Seven Sisters では自転車で海辺まで行ったりしました。他には Arundel という町でちょうどお祭りをやっていたので、そこでお城を見学したり野外コンサートを芝生のうえで観たりして楽しく過ごしました。各自の研究・学問のために1日自由時間が与えられた日は、当時興味を持っていた中間支援組織について話を聞きに、レディング大学の教授に会いに行きました。ブライトンからは少し遠いところだったことと、初対面の人と学術的な話をするという思いからかなり緊張していましたが、教授は暖かく迎えてくれたうえ思ったよりもじっくりと長い時間をかけて話をしてくださいました。短い滞在で、休日という時間も有効に使うことができたと思っています。
ブライトン留学プログラムを通して特に学んだことは、いろいろな背景を持つ人々と話すことの大切さです。滞在中、様々な年齢層あるいは様々な意見を持つ人と話す機会がありましたし、それによってイギリスという国を垣間見ることもできました。自分の意見を言えるようになるだけでなく、自分と違う意見をきいてそれに触発されたり、自分の意見をより論理的に組換え直したりすることを学びました。余談にはなりますが、個人的には一人の時間も同じくらい大事でした。じっくりと物や人を眺めていろんなことを推察してみたり、自分でまずやってみるという姿勢で物事に臨んだりすることは私自身の成長にとって大切でした。今後は卒業後の長期留学に向けて準備をするうえで学んだことを活かしていきたいと思うとともに、どこに行っても学ぶ姿勢を常に持って、さらに自分を成長させていきたいと思っています。
最後に、このたびは皆さま方の寄付によりたいへん貴重な体験をさせていただきました。心から感謝いたします。